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2016.11.29 Tuesday

金縛り奇譚 本当に魑魅魍魎は跋扈しているのか

先日、大学生の娘が「久しぶりに金縛りに遭うたわ」と告げました。

合宿から帰ってすぐだったので、だいぶん疲れていたようです。

疲れていると、肉体の就寝と、意識の就寝にタイムラグが生じることがときどきあって、そのズレに金縛りという一種の不快症状が起こるのではないか、と私は仮説を立てました。

 

──深夜の騒ぎ声の秘密

 

金縛りにかかるとよく、家の前の小さな通りを人の集団がガヤガヤと騒ぎながら通っていく幻聴が聞こえます。

すぐ近くに大学があるので、最初は、学生の集団が本当に歩いているのかと思っていたのですが、隣人さんに「真夜中、大勢の人が家の前を通らはった?」と訊ねてもどなたもご存知ない。

それで、これは、金縛り時によくある、ただの幻聴の一種だと考えるようになりました。

 

ところが、娘も全く同じこと=金縛り時は家の前を学生の集団が通過する声が聞こえる=と言い出したのです。ちょっと不可思議には感じましたが、集団の騒ぎ声が聞こえるというのは、意外と「金縛りあるある」かもしれないと、娘と話していると……

 

30年ほど前に一度しか金縛りを経験したことがないと言っていた夫までもが、3日ほど連続で金縛りに遭い、「大勢がガヤガヤと外通りを過ぎていく音がした」とやっぱり言うのです。それまでに、娘も私も、この幻聴のことなど、一度も夫に話したことはありませんでした。

これって、金縛りのあるあるなのか、我が家的あるあるなのか?

──ズレた隙間に百鬼夜行

中世から近代までよく描かれていたという百鬼夜行絵巻。
私は、この絵を見たとき、思わずドキっとしました。もちろん、あの金縛りのことが想起されたから。百鬼夜行のことを、魑魅魍魎が跋扈する──なんていいますが、まさに、金縛り時の「ガヤガヤ」した感じは、この絵のごとくだったからです。

中世、深夜になると一条通りを列を成して闊歩したという百鬼夜行。
今でも、彼らは往来を行き交っているのでしょうか?

 

最初、肉体の就寝と意識の就寝のタイムラグが生じた時、そのズレから金縛りが起こるのでは?と仮説を立てましたが、どうもこのタイムラグ=ズレが曲者で、そこに時空の隙間が発生するのかもしれません。その隙間にやってくる存在の一つが、この者たち。

いいえ、こちら側の隙間にわざわざやってくるのではなくて、平常、私たちが気づかないだけで、夜な夜な彼らは跋扈していて、たまたまズレてしまった隙間から、ほんの一瞬、その行進を垣間見るというだけなのかもしれません。

ひょっとしたら昔の人は現代人より敏感で、眠りに就かなくても、彼らの騒ぎをどこかで感じて、魑魅魍魎という名前を付けたのかもしれません。いいえ、現代人でも「胸騒ぎ」を感じる時は、すぐ近くを彼らが遊び狂っているのかもしれませんよ。